こんにちは、開発部会員企画開発チームの日比野です。
今回は、私たちのチームで導入したいくつかの振り返り手法についてご紹介します。
背景
私たちのチームでは週次で KPT(Keep, Problem, Try) を用いた振り返りを行っていましたが、次第に意見が出にくくなり、チームとして取り組むべき課題も挙がりにくくなるという問題を抱えていました。
この状況を改善するため、私たちは新しい振り返りの手法を試してみることにしました。
ふりかえりカタログ
「何か新しい振り返りのやり方はないか?」と探していたときに見つけたのが、こちらの「ふりかえりカタログ」です。
このサイトには目的や状況に応じた様々な振り返りの手法がまとめられているので、この中から活用できそうな振り返り手法を選びました。
週次:感情グラフ + タイムラインのハピネスレーダー
私たちは、週次の振り返りの KPT で意見が出にくくなっていた原因を「そもそもその週にあった出来事を全員が思い出せていないのでは?」と考え、「出来事を思い出す手法」の中から新しいやり方を探すことにしました。
チームで検討した結果、週次の振り返りでは「感情グラフ」と「タイムラインのハピネスレーダー」を組み合わせた手法を導入しました。
具体的なやり方
- Miro のホワイトボードツール上に、横軸を曜日、縦軸を「🙂」「😐」「☹️」の3段階の感情としたグラフを用意します。
- チームメンバーは日々の業務の中で、何か出来事があったら付箋に内容を書き、その時の感情に合う位置に貼り付けます。
- 週次の振り返り会の時間で、その週に貼られた付箋の中から、特に話したいものや KPT の K(Keep) や P(Problem) に繋がりそうなものをピックアップし、全員で深掘りして話します。
やってみてどうだったか
KPT では意見として挙げるほどではないけれど、少しモヤっとした、あるいは嬉しかった、といった細かな感情に紐づく出来事をチームで共有できるようになりました。
今はまだ個々の出来事の共有に留まるものも多いですが、今後はこれをチーム全体の改善アクションに繋げていけるよう、運用を継続していきたいと考えています。
月次:象、腐った魚、嘔吐
少しインパクトのある名前ですが、これはチームに潜む「見て見ぬふりをされている問題」を話し合うための手法となっています。
実践してみたい振り返り手法として挙がったのですが、頻繁に意見が溜まっていくようなものではないため、出てきた意見は月次で確認することにして導入しました。
具体的なやり方
以下の3つの観点で、気になっているけれど普段は言い出しにくいことを付箋に書き出します。
- 象🐘
- 誰もがその存在に気づいているのに、あえて口に出さない(見て見ぬふりをしている)大きな問題や真実を指します。
- 腐った魚🐟
- 早く処理しないとどんどん臭くなっていく腐った魚のように、隠している悩みや過去の過ちを指します。
- 早く打ち明けた方がよいけれど、なかなか言い出せないことです。
- 嘔吐🤮
- 普段は胸の内にしまっている不満や意見を、批判される心配なくすべて吐き出すことです。
月次の振り返りでは、これらの観点で集まった付箋について、心理的安全性を確保した状態で話し合います。
やってみてどうだったか
普段の振り返りでは議題に上がりにくい根深い問題やチームに対する本音を共有する場にできています。
テーマの性質上暗い雰囲気になりがちで、活発に意見を言い合って結論を出すということが難しい議題も多いため、一旦はチーム全体で共通認識を持つというところまでで留めておくことにしています。
オフライン:焚き火 + 闇鍋
振り返りの話からは逸れてしまいますが、ふりかえりカタログにある手法を用いたオフライン MTG も行ったのでそちらについても紹介します。
私たちのチームでは、定期的にオフラインで集まる機会も設けていて、その場ではチームのコミュニケーションをより深めることを目的としています。
そこでふりかえりカタログの「アイデアを出し合う手法」からヒントを得て、「焚き火」と「闇鍋」を組み合わせたワークを行いました。
具体的なやり方
- モニターに焚き火の映像と音を流し、リラックスした雰囲気を作ります。
- 各々が業務の話や趣味の話などに関連するテーマを付箋に書き、「闇鍋」のように一つの場所へ集めます。
- ランダムに付箋を1枚引き、そこに書かれたテーマについて全員で自由に雑談します。
やってみてどうだったか
この時に出たテーマとしては、「みんなはAIをどう活用している?」「業務で使っている便利なツール教えて!」などがありました。
普段はチームで雑談をする時間を設けていないため、知見を共有し、チームメンバーの普段の様子を知ることのできる有意義な時間になりました。
焚き火については、オフラインでの MTG なので周りにある程度の雑音もあり、MTG もチーム全員で行ったため無言になることも少なく、特に大きな効果はなかった印象でした。シーンとした空気になりやすい MTG の時に利用する方がメリットを感じられそうです。
まとめ
今回は、私たちのチームで試した振り返りの手法について紹介しました。
振り返りの目的を意識し、チームの状態に合わせて手法を柔軟に変えていくことで、振り返りのマンネリ化を防ぎ、継続的な改善に繋げることができると感じています。
もしあなたのチームでも同じように振り返りの課題を感じていたら、「ふりかえりカタログ」をヒントに、何か新しい手法を試してみてはいかがでしょうか。