はじめに
アプリケーション基盤チームの深野です。普段はRailsアプリケーションのRuby/Railsバージョンアップ対応や開発環境整備を担当しています。今年も社内制度(業務時間内の勉強会・技術カンファレンス参加可)を利用し、昨年に続いてKaigi on Railsに参加しました。
Kaigi on Railsとは
Kaigi on Railsは「初学者から上級者までが楽しめるWeb系技術カンファレンス」をコンセプトとするイベントです。コロナ禍でオンライン限定として始まり、その後はオフラインでも開催されるハイブリッド形式へ発展しました。現在もチケットがあればオンライン参加できる点が継続されています。扱われるトピックが幅広く、日常的にRailsを主軸としていないWebエンジニアでも多くの学びを得られるのが特徴です。発表後に公開スライドがはてなブックマークなどで話題になることも多く、自分が会場でリアルタイムに聞いた発表が話題になっていると少し嬉しい気持ちになります。(今年は「技術負債にならない・間違えない」権限管理の設計と実装やSidekiq その前に:Webアプリケーションにおける非同期ジョブ設計原則が特に話題だった印象です)
今年の会場は東京駅から徒歩数分のJPタワー内「JPホール&カンファレンス」でした。

印象に残ったセッション
ここからは特に印象に残ったセッションを公開スライドと併せて紹介します。(発表直後にスライドを公開してくださる登壇者が多く大変助かりました)
Railsアプリケーション開発者のためのブックガイド
密度の高い発表でした。まずは冒頭でWeb検索や生成AIの発達した時代にあえて技術書籍を読む効能として「メンバーが入れ替わっても揺らがない<文化>を作るのに貢献できること」が語られていました。ポイントは次の2点です。
- 本はその場で文脈に応じて内容が生成されるAIとは異なり、全員が同一内容を共有できる
- 途中参加メンバーも社内限定ドキュメントより既読である可能性が高く、キャッチアップしやすい
弊社の一部チームでも最近はチーム全員で参加する読書会を行っており、同じ書籍を読むことで議論が一段深くなる実感があるためこの内容には強く共感しました。
その後は登壇者である高橋さん(日本Rubyの会代表)による推薦技術書の紹介が続き、数えてみると約87冊に及びました。各書籍には魅力的なコメントが添えられていて、終了後にはスライドを見直して気になる本を探していました。
弊社シンクロ・フードでは年間30000円まで技術書を購入するための料金を負担してくれる制度があるため、そういった意味でもピッタリの発表でした。
あなたのWebサービスはAIに自動テストしてもらえる?アクセシビリティツリーで読み解く、AIの「視点」
Browser UseやPlaywright MCPなどのブラウザ操作系AIツールがWebページを操作するにあたって、Accessibility Tree(AX Tree)を用いていることを検証した上で、WebページのそのAI可読性を高めるには何を整備すべきかが整理されていました。さらに登壇者が開発する自然言語ベースのRuby製テストツールにAX Tree対応を導入したところ処理速度や精度が向上したという内容も紹介されており、説得力がありました。
AIにとって“読みやすい”Webページを作ることはE2Eテスト自動化だけでなく、将来的に“SEOならぬAIO(仮称)”といった評価軸にも関わってくる可能性があると思います。現状どのような仕組みでAIがページ構造を解釈しようとしているかを把握できた点や、AX Treeの可読性を下げるアンチパターンを知れたことは大きな学びでした。
Introducing ReActionView: A new ActionView-Compatible ERB Engine
英語での発表でしたが、非英語話者にも配慮されたスライド構成や発表内容となっていて十分理解することができました。中でもデモは非常に印象的で、Webページ上の要素をクリックするとその場で対応するERBコードを表示する機能などが紹介されてとても盛り上がっていました。Reactなどのフロントエンド系のツールではこのような機能は存在しますが、RailsのActionViewでこれを実現している点は意外性があり驚きました。
最後に掲げられた“The community has built incredible tooling for Ruby itself. Now it's time to bring that same care to the view layer.”というメッセージも、発表全体を象徴しており印象的でした。
セッション以外で印象に残った体験
ここではスポンサーブースについて触れます。Kaigi on Railsでは複数のスポンサー企業がブースを出展しており、実際にその企業で働いているエンジニア・人事の方と直接会話できます。各ブースはノベルティや独自企画を用意していて、文化祭のような活気がありました。
中でも、個人的には参加者がクイズやアンケートに回答する形式のブースが特に好みです。イベント参加の目的は魅力的なセッションを生で聞くことに加えて、普段接点のない他社の取り組みを知ることにもあると思います。アンケートやクイズはその自然なきっかけになるためです。
中でも印象的だったのがMedPeerさんの「技術選定クイズ」です。
Medpeerさんのテックブログで、実際に会場で出題されていたクイズの画像が載っています。
ActiveJobのアダプタやN+1検知などの、Railsで開発する上では避けて通れない要素について、実際にどのgemを採用したかを当てる形式でした。回答後に、どの観点を比較してそのgemを選定したのかを具体例とともにエンジニアの方に伺うことができ、非常に参考になりました。
おわりに
昨年に続き今年も参加した感想でした。多くの刺激と学びを得られたため、来年も機会があれば参加したいと考えています。